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2022.11.24(木)学術活動

/ 隈病院は創立90年を迎えます

90周年記念講演会・祝賀会を開催

隈病院は、本年2022年12月27日に創立90周年を迎えます。
これを記念して、11月5日(土)神戸市中央区のポートピアホールにて講演会を開催しました。

隈病院 創立90周年記念講演会

1.開会のご挨拶
医療法人神甲会 隈病院 理事長  隈 夏樹
医療法人神甲会 隈病院 院長  赤水 尚史

2.特別講演①
「Risk stratification in differentiated thyroid cancer
 : from pre diagnosis to final follow up」
(邦題「甲状腺分化がんのリスク分類:診断前から最終経過まで」)
講演:Memorial Sloan Kettering Cancer Center  Prof. R. Michael Tuttle
座長:医療法人神甲会 隈病院 名誉院長  宮内 昭

3.特別講演②
「バセドウ病診療において残された課題―眼症」
講演:医療法人神甲会 隈病院 院長  赤水 尚史
座長:前獨協大学・臨床検査医学 教授、日本甲状腺学会 理事長  菱沼 昭 先生

4.閉会のご挨拶
医療法人神甲会 隈病院 名誉院長  宮内 昭

まず、開会のご挨拶を医療法人神甲会理事長 隈と、隈病院院長 赤水が務めました。
隈理事長は、90周年という節目の年に、宮内昭 前院長が院長を退任し名誉院長に、赤水尚史 前副院長が院長に就任したことをご紹介し、そして隈病院の増改築工事が開始されたことをご報告しました。(写真1)

特別講演①は、米国にあるメモリアル・スローン・ケタリングがんセンターの内分泌部門でチーフを務め、甲状腺がん診療の第一人者であるマイケル・タトル教授にご講演いただきました。(写真2)

冒頭、当院名誉院長の宮内が座長を務め、マイケル・タトル教授をご紹介しました。
タトル教授は、2012年に当院を訪問し、その際に宮内名誉院長が提唱した「低リスク微小がんの積極的経過観察」の診療の様子などを見学されています。アメリカ、そして世界の甲状腺医療の発展に大きく貢献され、2015年のアメリカ甲状腺学会ガイドラインには「積極的経過観察」が記載されました。

タトル教授のご講演では、甲状腺分化がんの新たなリスク分類についてご教授いただきました。これは、例えば「低リスク微小がんの積極的経過観察」のような必要最小限の医療マネジメントが、「個」の患者さんそれぞれの症状・病態・その他の特徴、担当する医療体制・チームの特徴を考慮して、適切か不適切かを判断するためのリスク分類です。これまでは術後に行われていたリスク評価を結節が発見された時点で開始し、「一人一人の患者にとって、正しい治療を、正しい時期に行う」ために、ガイドラインの改訂も行われました。
講演後には会場から、講演の中で紹介された最新の研究データに関する質問などが挙がりました。
当院にとって大切な記念すべき式典に、貴重なご講演をいただいたタトル教授には、隈病院を代表して赤水院長、宮内名誉院長から感謝状が贈られました。(写真3)

特別講演②では、座長の日本甲状腺学会理事長 菱沼先生にご紹介いただき、当院院長 赤水が登壇しました。(写真4)
赤水院長は、2020年に当院の副院長として入職し、本年(2022年)4月に院長として就任しました。大学卒業後に神戸市立中央市民病院に勤務した経験もあり、神戸ひいては本講演会が開催されたポートアイランドという地にも縁がありました。その後、京都大学に戻り大学院修了後には、米国国立衛生研究所(NIH)に留学するなど国際的にも内分泌・甲状腺分野におけるキャリアを積み重ねてきました。これまでに数々の受賞歴を有し、学術界でも重要な役割を歴任するなど大きな功績を残しています。

講演冒頭は、「周年事業」が持つ意味を「組織に新しい『変化』を起こす絶好の機会」と捉え、これまで甲状腺学会・内分泌学会でご自身が携わった周年事業での想いと、その機会に生まれた『変化』についてお話しました。
そして、バセドウ病診療において残された課題となっている眼症について、発症のメカニズムと新たな治療法などを紹介しました。眼症はバセドウ病全体の30%程度で、甲状腺機能の変動と必ずしも帯同しないといった特徴を有しており、活動期の検体が得がたいなどの理由で基礎研究の難しい病気です。しかし、近年は新薬の開発が進められ、国内外で治験が実施されています。日本での治験には当院も参加し、期待を込めて結果を待っている段階であることが報告されました。
そして講演の最後には、隈病院の今後の展開として、甲状腺疾患に関わる全ての診療に対処できる「総合的甲状腺専門病院」となり、病気ではなく患者さん一人一人の安心と満足を実現する「全人的かつ個別化医療」を目指していくことをお約束しました。

最後は、名誉院長の宮内が、これまでの約20年間院長として隈病院の理念を引き継ぎ、その理想を具現化させてきたリーダーシップと、実績を支えた想いに触れ、講演会を締めくくりました。(写真5)

その後、祝賀会の会場では、お集まりいただいた方々に隈病院90年の沿革をまとめた映像などをご覧いただきました。また、現在建設中の新たな建物の構想も発表され、20年間院長として当院の発展をけん引してこられた宮内名誉院長に、医療法人神甲会から感謝の意を込めた賞状が手渡されました。


当日は、感染予防対策に十分配慮したうえで、当院と連携しご協力をいただいている関係者の方々をお招きすることができ、多くの皆様にお集まりいただきました。
会場までお越しくださいました皆様、またお会いすることは叶わずとも周年祝いのお気持ちを寄せてくださった皆様、当院に関係するすべての方々に、心より御礼申し上げます。

隈病院は、来年には現在進行中の増改築の完成予定を控えており、100年を超えて、さらにその先を見据え、進んでまいります。今後とも皆様のご指導・ご支援のほどお願い申し上げます。(写真6)

KUMA HOSPITAL

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