2024.08.09(金)学術活動
MIYAUCHI HALL完成記念 第1回隈病院地域公開講座が開催されました
8月3日にMIYAUCHI HALL完成記念 第1回隈病院・地域公開講座が開催されました(写真1)。
土曜日の午後、しかも例年になく猛暑の中にもかかわらず、ほぼ満席の参加者がありました。
写真1:MIYAUCHI HALLと記念の陶板壁画の前で来場者の受付
最初に、隈夏樹理事長による丁寧で詳細な開会の挨拶がありました(写真2)。
写真2:隈理事長による開会のご挨拶
引き続き、宮内昭名誉院長が隈理事長ご指定の演題:「“神戸から世界へ” 海を越えた甲状腺医療」の講演を行いました(写真3)。
最初に隈病院の沿革、初代院長隈鎮雄医師による隈病院開設、第二代院長隈寛二医師による甲状腺専門病院化と病床数の増床、病院の拡張と鉄筋コンクリート化、2001年の宮内医師の第三代院長就任と2005年の第三次大規模増改築と当時まだ希であった電子カルテシステムの導入、2010年の隈夏樹第二代理事長就任と2022年の赤水尚史医師の第四代院長就任、そして本年完成の増築を紹介し、隈病院の外来患者数と手術件数とその内容の変遷を簡潔に話ました。
宮内医師は院長就任以来、隈病院の理念2の「社会的役割を果たす」に関して、甲状腺専門病院として専門的診療から得られた患者さんと医師にとって有用な情報を世界に発信することに特に努力してきたことを述べました。その結果、米国ジョンズホプキンス大学のCooper教授によれば、2006年〜2019年の施設別の甲状腺癌に関する論文数は隈病院が世界で4番目であった事も紹介しました。
写真3:MIYAUCHI HALL完成記念講演を行う宮内名誉院長
この様に当院から世界に発信した甲状腺診療に関する情報は非常に多彩・多数ですが、その中で、近年特に世界的に注目されており、しかも、今回の聴衆である一般市民にも関心があるとおもわれる「甲状腺微小乳頭癌の積極的経過観察」に話題を集注しました(写真4)。
1993年の宮内医師の提案によって隈病院において世界で初めてこの様な前向き臨床試験が開始され、経過観察中に腫瘍が進行するのはごく少数であり安全であること、直ちに手術群の方が色々の不都合事象の頻度が高いこと、医療費は手術が積極的経過観察の4.1倍高額であること、患者さんはこの取扱いに満足していることを説明しました。
さらに、ごく最近の知見として甲状腺ホルモン剤を投与して血中TSH値を低く保つと癌の進行が抑制されることも話題としました。
当院の2年後に同様のトライアルを開始した癌研病院、日本医科大学グループの結果もほぼ同様であり、これら二施設からの報告を受けて、日本内分泌外科学会、日本甲状腺学会も積極的経過観察を積極的に支持するようになった事、米国でもその方向に動いていることも紹介しました。
写真4:宮内名誉院長が世界で初めて開始した「低リスク甲状腺微小がんの積極的経過観察」
講演の後では、Q&Aセッションがもたれ、多数の参加者から色々の質問があり(写真5)、宮内名誉院長からそれぞれに丁寧に返事をしました。
写真5:Q&Aセッションでは、会場からの質問にお答えしました
最後に、赤水尚史院長より、締めの挨拶として、参加者に御礼の言葉と、今後の隈病院の発展の方向性についての話があり(写真6)、MIYAUCHI HALL完成記念講演会は盛会のもとに閉会となりました。
写真6:最後は赤水院長の挨拶で締めくくりました