2025.03.07(金)学術活動
第25回 隈病院甲状腺研究会を開催しました
毎年、医療関係者の皆様をお招きし“隈病院甲状腺研究会”を開催しています。本年は25回目を迎え、3月1日(土)にホテルオークラ神戸にて開催いたしました。
第25回 隈病院甲状腺研究会
司会進行:隈病院 外科医長 藤島 成
1.開会の辞:隈病院 院長 赤水 尚史
2.【第1部】
座長:名古屋大学医学部附属病院 乳腺・内分泌外科 診療教授
菊森 豊根先生
[演題1]甲状腺中毒症に対する超音波検査の有用性
演者:隈病院 臨床検査科 生理機能検査室
土岐 純菜
[演題2]バセドウ病に対する安全な甲状腺全摘術
演者:隈病院 頭頸部外科 医長
佐々木 崇博
3.【第2部】
座長:獨協医科大学埼玉医療センター 糖尿病内分泌・血液内科 主任教授
橋本 貢士先生
[演題3]甲状腺クリーゼの発症実態、診療ガイドライン、予後の改善
演者:隈病院 院長
赤水 尚史
4.閉会の辞:隈病院 院長補佐 宮 章博
冒頭の開会の辞では、当院院長の赤水尚史医師より、会場にお集まりの皆様へ本日の講演内容についてご紹介いたしました。
第1部では、当院 臨床検査科の土岐 純菜検査技師が「甲状腺中毒症に対する超音波検査の有用性」について口演しました。甲状腺中毒症の鑑別に超音波検査が有用であること、そしてバセドウ病と無痛性甲状腺炎では血流評価が重要で、血流値10%以上でバセドウ病の可能性があり、橋本病急性増悪と亜急性甲状腺炎では、橋本病急性増悪と亜急性甲状腺炎では、甲状腺の大きさや内部のエコーレベルが鑑別点となることを説明しました。
続いて、当院 頭頸部外科 医長の佐々木 崇博医師が「バセドウ病に対する安全な甲状腺全摘術」について口演しました。バセドウ病に対する手術は、内科的治療が困難な場合、甲状腺が大きく腫大している場合、早期に確実な寛解を希望される場合などに治療選択肢となります。当院では以前から機能温存と安全性に配慮した手術を常に行ってきましたが、近年、術中神経モニタリングや超音波凝固切開装置など医療機器の進歩により、安全性はさらに向上しております。当院の良好な治療成績を参加者にお話しました。
第2部では「甲状腺クリーゼの発症実態、診療ガイドライン、予後の改善」について、当院 院長の赤水 尚史医師が登壇しました。甲状腺クリーゼの症例を紹介し、歴史的背景やその診断基準、全国疫学調査の結果について解説。致死率が高く、迅速な診断・治療が必要であり、既存の診断基準の問題点を踏まえ、新たな診断基準の作成と疫学調査の実施に至った経緯についても言及しました。さらに、世界で初めての診療ガイドラインを作成し、その妥当性に関して全国前向きレジストリ調査を実施しました。その結果、日本では診療ガイドラインが遵守され、致死率が半減したことが示されました。認知向上により診断例が増えたが、未診断例も多いことを指摘し、初療する診療科への診断基準・診療ガイドラインの認知率向上や発症の予防対策が大切であることを述べました。
講演後の質疑応答では、時間が足りなくなるほど会場からの質問やコメントが相次ぎ、大変活発に意見が交わされました。
最後に、当院 院長補佐の宮 章博から、参加いただいた皆様に日頃のご協力に対する御礼を申し上げ、今年の隈病院甲状腺研究会も盛会裏に終了いたしました。
ご参加いただきました皆様に改めて御礼申し上げます。
写真左:開会のご挨拶(赤水院長) 写真右:司会進行(藤島医師)
写真左:第1部座長(名古屋大学医学部附属病院 菊森教授) 写真右:演題1演者(土岐技師)
写真左:演題2演者(佐々木医師)写真右:第2部座長(獨協医科大学埼玉医療センター 橋本教授)
写真左:演題3演者(赤水院長) 写真右:閉会のご挨拶(宮院長補佐)