安心して手術を
受けるために。

手術を受けるとなると、何かと不安なことも多いと思います。手術はどういうものなのか、手術の流れや術後の経過などについて、ある程度の知識を入れておくとより理解が深まります。

手術に関するご案内

手術は合併症を引き起こすこともある侵襲性のある治療法です。手術の内容や病状によって、リスクの程度は異なりますので、心配なことや分からないことがあれば、遠慮なく医師または看護師におたずねください。

術前動画のご案内

甲状腺手術を受ける患者の皆様が、少しでも安心して手術を受けていただけるよう動画を作成しています。手術の同意の前に説明する内容を簡単にまとめていますのでご覧ください。

手術の流れ

  1. 1 手術室入室
    手術室入室前に点滴経路を確保します。
    入室後、まずは手術中の状態を監視するためのモニターを装着し、安全確認ののち麻酔をかけ始めます。
  2. 2 手術
    手術時間は、甲状腺片葉切除で約1.5時間、甲状腺全摘術で約2時間です。
    リンパ節廓清は、小さい範囲では片側あたり約15分、大きな範囲では約45分になります。
    手術時間は患者様の状態によって大きく変わりますので、あくまで目安とお考えください。
  3. 3 術後
    意識がもどるのは手術が終わってからです。
    手術後には、頸部の創があり、その外側にドレーン(浸出液などを排出するための直径3.5mmの管で、持ち運べるポータブル吸引器につながっています)が入った状態になります。
  4. 4 経過観測
    通常、手術終了後から当日の夜まで、リカバリー室に入室していただき、翌朝まで経過観察を行います。
  5. 5 抜糸
    抜糸は手術の翌々日です。
    抜糸は腹部の手術と比べると早いのですが、皮膚のすぐ下の層でも縫合してあるので、首を動かしても創が開くことはありません。
    ドレーンの抜去は、排出量にもよりますが抜糸と同時かその翌日くらいが標準的です。
  6. 6 退院
    術後5日~1週間程度で退院となり、退院の1か月後に外来に来ていただき、手術の最終的な結果(病理診断検査の結果)を説明いたします。
    仕事は、重労働でなければ退院後1週間程度での復帰が一般的です。

手術創について

甲状腺の手術を行う時には、たいていの場合、襟状切開(頸部の皮膚を横に切開)を行います。
手術創の大きさは、手術の種類によります。
手術創が術後どのくらいきれいに治るかは、患者様の体質によるところも大きいようです。
当院ではできるだけ目立たない手術創になるように手術創のテープ固定などを患者様に指導し、2~3か月間創部の固定をお勧めしています。

手術部位の症状について

  • 痛み・引きつる感じ・硬くなるような圧迫感、また頸部のしびれたようなピリピリとした 感じは徐々に軽減していきます。
    問題のない経過ですので、様子を見ていただいてかまいません。
  • 急に振り向いたりすると、痛みなどの症状が強くなることがございますので、ご注意ください。
  • 首の違和感や痛みを軽減させるため、頸部のストレッチは退院後も続けてください。

退院後の生活について

  • お食事
    お食事の制限はありませんので、なにを召し上がっていただいてもかまいません。
  • 家事
    家事はならす程度から無理なくゆっくり始めてください。
  • お仕事
    お仕事は体調に問題なければ可能です。心配な方は医師とご相談ください。
  • 運動
    水泳やゴルフなどの激しい運動は、最低1か月程度、次回受診時までは控えてください。
  • 入浴
    首までお湯に浸かっても差し支えありません。シャンプーや石けんはお湯で洗い流し、タオルで「押さえ拭き」してください。