2024.03.25(月)学術活動
甲状腺クリーゼの診療ガイドラインに関する論文がJCEMに掲載されました
日本で作成された甲状腺クリーゼの診療ガイドラインの有用性を示した研究論文がアメリカ内分泌学会の公式ジャーナルであり、内分泌臨床の国際的トップジャーナルであるJCEM(The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism)に掲載されました。
甲状腺クリーゼは、放置すると死に至る緊急治療を必要とする重篤な甲状腺中毒状態を指します。
バセドウ病の治療を受けていなかったり、甲状腺中毒状態である時に、感染症や手術などの強いストレスが加わることで発症することがあります。
高熱やショック、意識障害などのほか、高度の心不全や黄疸・下痢などの症状がみられます。
従来の報告では、甲状腺クリーゼの致死率は世界中のいすれの国でも10%以上でした。
このような不良な予後を改善するために、当院の赤水院長を研究責任者とする日本の研究班は2016年に新たな診療ガイドラインを作成しました。
今回、JCEMに掲載された論文は、その診療ガイドラインの普及によって日本における致死率が約半分の5.5%まで低下していることを示したものです。
本論文の発表により、米国を含め世界中の国々で日本の診療ガイドラインの有用性が認められ、より多くの患者さんの救命に寄与することが期待されます。
さらに、査読者のコメントでは、将来の礎ともなる成果であると高い評価を受けています。
Prospective Multicenter Registry–Based Study on Thyroid Storm: The Guidelines for Management From Japan Are Useful
Yasushi Furukawa, Takashi Akamizu, etc.
【掲載リンク】
JCEM(Corrected Proof):
https://academic.oup.com/jcem/advance-article/doi/10.1210/clinem/dgae124/7624230
PubMed[NIH:National Library of Medicine]:
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38454797/
この診療ガイドラインが世界に普及することにより、より多くの甲状腺クリーゼの患者さんの予後改善につながることを願っています。