橋本病の漢方薬療法などによるサポート治療について (はしもとびょうのかんぽうやくりょうほうなどによるさぽーとちりょうについて)
漢方薬療法に対する当院の見解
甲状腺疾患を治療する漢方薬として保険が適用できるものはありません。当院でも、甲状腺 疾患の治療に漢方医療を実施することはありません。大切なのは、病状に応じた海藻類などのヨード制限を行い、偏食無く健康な生活習慣を心がけていただくことです。 橋本病と診断されても多くの方は、無治療でもホルモン正常のことがありますので、 甲状腺機能が低下しないから服用している漢方薬が効いているということにはならないことにも注意してください。甲状腺に関する中医(漢方)の書物にも治療薬の記載があるようですが、甲状腺疾患の多いヨード欠乏地域 、 かつ過去の科学的ではない経験に基づくもので、現代の日本のようなヨード過剰地域には適さない考え方です。漢方薬や天然物が化学合成の薬と比べて安全であるという事実はありませんので、漢方薬を服用されるときにも、薬の副作用などもお調べいただくことをお勧めします。
民間療法などにもご注意ください
漢方薬治療ではありませんが、「橋本病を治す・良くする」といった民間療法でのセミナーなどもあると聞いたことがあります。経済的損害・健康被害を蒙ることのないように、冷静なご判断をお勧めします。繰り返しになりますが、 橋本病であってもホルモンが下がらないのはよくあることで、民間療法が効いているということにはならないことにも注意してください。さいごに
雑学としては、紀元前より中国の書籍「山海教」に「癭」として甲状腺腫大および随伴症状がヨウ素欠乏地域の大陸中国内陸地域で認識されており、海藻類が治療に有効に利用されていたなどの記載はあって当時から甲状腺疾患と海産物の関係に認識があったようです。中國の「以形補形」概念 は、体の補強・強化したい部分を動植物の同部位や類似物を摂取して補う思想で、代表例としては 貧血を改善する「猪血」「鴨血」が あります 。 唐代の医師、孫思邈が昆布に加え、以形補形で想起 される「 羊靨 」および「鹿靨 」(「 靨 」は甲状腺と解されている ) を癭の治療に使った記録があります (「 千金方 」及び「外台秘要」) 。
靨こそが現代のチラーヂン原末に相当するものです。これらの生薬は明代の「本草綱目」にも記されています。このように、中医では甲状腺機能低下症や甲状腺腫大に関しては、広汎とは言えないかもしれませんが、古くより正解に到達しており、その後継は現在の漢方ではなく、科学的根拠にも裏付けられた西洋医学に受け継がれているのです。
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