2021.08.05

バセドウ病と薬 (ばせどうびょうとくすり)

  • アイソトープ療法
  • バセドウ病
  • 甲状腺の病気の治療
  • 甲状腺ホルモン

バセドウ病の薬による治療

バセドウ病の治療薬には抗甲状腺薬(甲状腺のホルモンを合成する機能を抑える薬)と無機ヨウ素があります。
また、抗甲状腺薬にはチアマゾール(メルカゾール®)とプロピルチオウラシル(チウラジール®、プロパジール®)の2種類あり、無機ヨウ素にはヨウ化カリウム丸があります。日本ではバセドウ病の治療を抗甲状腺薬で始めることが一般的ですが、抗甲状腺薬での副作用が出たときやバセドウ病の病勢によっては無機ヨウ素を使用することもあります。
 
内服を始めると早い方では1か月、遅い方でも3〜4か月後には血液中の甲状腺ホルモン値が低下し、症状も改善していきます。薬は長期に内服する必要があり2年で薬を中止できる方は30%程度とされていますので、決して自己判断で内服を中断しないようにしていただくことが重要です。

【この治療で大切なこと】

  1. 1.毎日きちんと忘れずに服用すること
  2. 2.定期的に甲状腺ホルモン値を調べながら適切な量を服用すること
  3. 3.副作用のチェックを定期的にすること

注意すべき副作用について

抗甲状腺薬の副作用としては、かゆみ・じんましん、肝機能障害、白血球減少症(好中球減少症)などがあります。

● かゆみ・じんましん(薬疹) 
内服開始後、数週間で出現することがありますが、抗甲状腺薬を継続するうちに自然と改善することが多いため、抗アレルギー薬(花粉症などで使用する薬)を使用し対処します。じんましんが出たら近隣の医療機関を受診するか、薬局で抗ヒスタミン薬というかゆみ止めのおくすりを買って飲んでください。しかし、症状が強いときは抗甲状腺薬を中止することもあります。
 
● 肝機能障害 
治療を開始すると一過性にAST、ALTが100IU/L程度まで上昇することがありますが、通常は自然に軽快します。しかしAST、ALTが200-300IU/L以上となる場合には抗甲状腺薬の副作用の可能性も否定できませんので投薬変更が必要となることがあります。

内服開始から数か月間、2〜4週間に一度、血液検査や尿検査を行い、副作用の有無を確認することが必要です。
 
● 白血球減少症(好中球減少症) 
服用時、約1,000名に1名の割合で、おくすりの副作用として白血球が減少することがあります。特徴としては抗甲状腺薬を開始して、3か月以内がほとんどであり、ウイルスや細菌を退治する白血球が極端に少なくなり、感染症になりやすい状態になります。

この副作用は放置すると大変危険です。白血球減少症の初期症状である“38℃以上の発熱”“のどの痛み” は、かぜや扁桃腺炎の症状と同じです。服用中は単なるかぜと思って放置しないようにしてください。

症状がでてきたら、すぐに近隣の医療機関を受診して、“白血球と共に好中球の数”が低下していないか確認する必要があります。そのため、抗甲状腺薬開始後2〜3か月間は2週間ごとに通院していただき血液検査で異常がないか確認します。

白血球減少症は早期に対処すれば心配ありませんので、上記のことを必ずお守りください。また内服中の方は何年たっても起こることがありますので注意してください。

その他の治療法について、下記の記事にまとめています。ぜひ合わせてご覧ください。
 

 

関連記事