甲状腺疾患の遺伝について (こうじょうせんしっかんのいでんについて)
バセドウ病の遺伝について
バセドウ病の遺伝に関しては、以前より、家族や親類の中で複数の発症を認めるなど、なんらかの遺伝的関与があるのではないかと考えられていました。しかし、同じ遺伝子を持つ一卵性双生児がともにバセドウ病になる確率は20〜50%程度と言われており、実際には遺伝的因子だけがバセドウ病の発症に関与しているとは言えません。バセドウ病の発症には、遺伝的因子と環境的因子(感染、ストレスなど)の両方の関与があるのではないかと考えられています。また、母親がバセドウ病の場合、娘がバセドウ病になる確率(危険率)は通常の約6〜10倍程度と言われており、健常者と比較すると発症の確率はやや高い傾向にあります。バセドウ病の遺伝因子については、HLA遺伝子、CTLA-4遺伝子、PTPN22遺伝子などが発症に関与することがわかってきており、研究が進められています。TSHレセプターの活性型変異で生じる非自己免疫性甲状腺機能亢進症は常染色体顕性(優性)遺伝の疾患であり、バセドウ病に類似した所見を認めますが異なる疾患です。
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