バセドウ病の検査 (ばせどうびょうのけんさ)
バセドウ病の検査について
初診時と再診時では検査内容が変わります。なお、当院では絶食での受診は必要ありません。特に初診日は診察や検査に比較的時間がかかりますので、軽く食事をされての受診をお勧めしています。採血のいくつかの項目は直近の食事の影響を受けますが、それを加味して解釈することができます。また、実際に食事による甲状腺関係の検査値への影響は少ないです。
初診時の流れ
問診票でいくつかの項目に回答していただいた後、看護師が確認の問診を行います。医師は紹介状や問診に目を通したうえで診察し、検査を指示します。一般の生化学検査と血球数に加え、甲状腺ホルモンのFT4、FT3、TSH、バセドウ病の原因となる自己抗体のTRAb、あるいはTSAbなどを測定します。
ホルモンが高いことで不整脈や心不全などが起きることもあり、心臓への影響を診るために初診時に心電図と胸部X線検査も追加します。
甲状腺は体の表面に近いので超音波検査による詳細な観察が容易で、CTやMRIよりも多くの情報を得られます。バセドウ病は後述のように治療期間の長い病気になるので、腫瘍などの手術が必要な病変がないかを最初に確認しておく必要があります。また、甲状腺が大きいほど治療期間が長くなったり、薬を減らしていくのが難しかったりすることが多いので、甲状腺の大きさも計測します。妊婦、授乳中の方では放射線被ばくの無い超音波検査で調べた血流の度合いを、放射線検査の代替・補助として使うこともあります。
バセドウ病かな?と思う患者さんは、初診時に海藻類やイソジンなどのヨウ素を1週間ほど制限しての来院をお勧めしています。甲状腺ホルモンが高くなる疾患には、バセドウ病以外にも無痛性甲状腺炎や亜急性甲状腺炎、ホルモン産生腫瘍などがあり、バセドウ病の確定診断には微量の放射性ヨウ素あるいはそれに似た性質の物質を使った摂取率検査が必要になります。ヨウ素制限をしていると正確な検査結果の判定が可能になります。
通常の検診結果で総コレステロールが低い、アルカリホスファターゼ(ALP)が高い、クレアチンキナーゼ(CK)が低い、クレアチニン(Cr)が下がってきた(eGFRが上がってきた)などの異常や、心電図の異常などからバセドウ病を疑われて紹介していただくこともありますが、上記と同様の検査を行い診断することができます。
再診時の流れ
再診時には、初診時にみられた症状が改善しているかを確認します。血液検査では、甲状腺ホルモンの数値と抗甲状腺薬の副作用の監視のため血球数や肝機能の測定を行います。プロピルチオウラシル(チウラジール®︎、プロパジール®︎)で治療している人では、適宜尿検査を加えます。病気の原因となる自己抗体TRAbあるいはTSAbの変動を適宜調べます。病気の本来の原因である免疫系の活動状況を知りたいところですが、確実に数値化する方法が実用化されていないため、自己抗体で病気の勢いを観察します。当院ではバセドウ病の治療上必要となるほとんどの血液検査項目は診察日に結果が出るので、病気の勢いが変化しやすいバセドウ病に後手とならずにタイムリーな治療を行えます。症状や検査結果から、薬による治療を継続するか、投薬量を増減するか、他の治療法に変更するべきか、などの判断をします。
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