バセドウ病を放置しておくと (ばせどうびょうをほうちしておくと)
バセドウ病を放置したらどうなる?
バセドウ病は慢性疾患であり、治療に長期を要する病気です。早期に寛解(甲状腺機能が安定し治療を要しない状態)となる方でも、約1年半はかかります。治療が長期になり、かつ状態が改善して自覚症状があまり目立たなくなってくると、通院を途中で中断されてしまう患者さんもいます。また仕事などで忙しく、仕方なく通院できなくなる方もいます。
そのような場合、残念ですがバセドウ病は悪化することが多いです。時に治療中断中に自然に良くなり、久しぶりに受診したときに治療が必要なくなるケースもあるにはありますが、多くはありません。治療を中断してしまうと殆どのケースではバセドウ病は悪化し、治療をやり直さなければならなくなってしまいます。
また、中断中に悪化したケースで、命にも関わる甲状腺クリーゼを発症する場合や、また不整脈や心不全などに伴うと思われる突然死のケースもあります。甲状腺クリーゼは高度の甲状腺中毒症(甲状腺ホルモンが過剰な状態)に対する身体の代償機構の破綻であり、様々な臓器の不全状態に陥ります。主症状はせん妄やけいれん、意識レベルの低下といった中枢神経症状、38℃以上の発熱、130回/分以上の 頻脈、心不全症状、そして嘔吐や下痢の消化器症状です。クリーゼを呈すると、速やかな集中的治療を行わなければ急性循環不全や多臓器不全で致死的となります。
バセドウ病は、きちんと治療すれば改善する病気ですが、治療をしなければ、悪化し、時に命に関わることもあることを知っておいてください。治療を中断することなく、継続することが病状の安定へのいちばんの近道です。
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