2021.08.20

甲状腺未分化がん (こうじょうせんみぶんかがん)

  • 甲状腺がん
  • 甲状腺の病気
  • 甲状腺の病気の症状
  • 甲状腺腫瘍

病気の特徴

甲状腺未分化がんは甲状腺がんの1つで、極めて悪性度の高いがんです。
甲状腺がんは他に乳頭がん、濾胞がん、低分化がん、髄様がん、リンパ腫がありますが、未分化がんは甲状腺がん全体の約1%程度に見られる稀な種類です。
長年にわたって存在していた乳頭がんや濾胞がんの性質が突然変わって、未分化がんに転化することが多いと言われています。
 
他の甲状腺がんよりも高齢の60歳以上の方に多く、ほかの甲状腺がんは女性に多いのが特徴ですが、未分化がんに関しては男性が発症する割合も高く、男女比はほぼ1:1です。
 
同じ甲状腺がんでも、乳頭がんや濾胞がんは進行がゆるやかで生存率も非常に高いですが、未分化がんはほかの臓器のあらゆるがんと比較しても非常に進行が早く、診断がついてから1年以上の生存は20%以下で大変危険な病気です。
病期(ステージ)で解説すると、乳頭がんや濾胞がんでは大きくI〜IVの4段階に分類されますが、未分化がんの場合はすべて進行が進んだ状態のIVとされます。そこから、がんの浸潤、リンパ節転移、そして遠隔転移の有無によってステージIVA, IVB, IVCの3つに分類されますが、やはりステージが進むほどがん死率が明らかに高くなります。ステージIVA, IVB, IVCの方の生存期間は、それぞれ16か月、6か月、3か月ととても厳しいです。
 
その他の甲状腺がんについて、詳細は下記コンテンツをご参照ください。
 

自覚症状と診断・発見

甲状腺のしこりが急速に大きくなってきた、ということを訴えて来られる患者様が多いです。しばしば痛み、皮膚の赤味、呼吸困難、かすれ声などを伴います。
甲状腺のしこりはバセドウ病などほかの甲状腺の病気でも見られますが、1か月程度で急速に増大した場合、甲状腺未分化がんが疑われます

診断は、超音波検査、腫瘍に針を刺して細胞や組織を採取する検査(細胞診・針生検)によっておこないます。

  
症状一覧
・急激に大きくなる甲状腺のしこり
・しこりの痛みと皮膚の発赤
・声がれ
・呼吸困難
・嚥下困難
・頸部リンパ節の急激な腫脹
・発熱、倦怠感、体重減少などの全身症状

​治療

検査を行っている間にも進行することがあり、診断がついたらすぐに治療をする必要があります。手術、化学療法、放射線を組み合わせた集学的治療、また分子標的薬という新しい薬による治療を行います。当院でもこうした治療を行うことで元気に過ごされている方が何人もいらっしゃいます。厳しい病気ですので、併せて症状の緩和や精神的な支えが行える様に対処しています。非常に治療の難しいがんですが、新たな治療法の開発も進められており、希望を失わず治療に臨むことをお勧めいたします。
 

 

関連記事