2021.09.25

甲状腺ホルモンの働き (こうじょうせんほるもんのはたらき)

  • ヨウ素
  • 全身症状
  • 原因
  • 甲状腺ホルモン

甲状腺ホルモンの主な働きは、新陳代謝の促進

甲状腺では「甲状腺ホルモン」が生成されます。
甲状腺ホルモンは、大きく分けると次の3つの働きがあると考えられています。

●1 細胞の新陳代謝を盛んにする
代謝とは、脂肪や糖分を燃やしてエネルギーをつくり出し、生体の熱産生を高めることです。

●2 交感神経を刺激する
交感神経が刺激されると、心臓機能や発汗を調整します。

●3 成長や発達を促進する
甲状腺ホルモンは、胎児や小児が正常に成長、発達するために不可欠なホルモンです。

甲状腺ホルモンは、海藻に多く含まれているヨウ素(ヨードともいいます)を含んでいることが大きな特徴です。
甲状腺ホルモンには、
4つのヨウ素を含むサイロキシン(T4)
3つのヨウ素を含むトリヨードサイロニン(T3)
の2種類があります。 甲状腺では主にT4が作られますが、肝臓などで活性型のT3に変換されることでホルモンとしての働きを発揮します。
 

ホルモンの働きをコントロールする「下垂体」

脳の直ぐ下のちょうど目の奥辺りに「下垂体」という小さな内分泌臓器があります。下垂体は、血液中の甲状腺ホルモンなど多くのホルモンが一定の値を維持できるようにコントロールしている、内分泌の司令塔のような役目を果たしています。

下垂体から分泌される甲状腺刺激ホルモン(TSH)が甲状腺を刺激し、甲状腺ホルモン(T4,T3)の分泌を促します。一方、甲状腺ホルモンが多すぎるとTSHは少なくなって甲状腺ホルモンを一定に保とうとします。

甲状腺ホルモンが多すぎる時の症状

甲状腺ホルモンの分泌量が多すぎると、必要以上に全身の代謝が高まります。ちょっとした運動でも脈拍が上がります。他にも、体温が上がったり、腸が異常に働いて下痢になったり、しっかり食べているのに痩せていったり、イライラしたり興奮しやすくなるなどの症状が現れます。
 
【よくある症状】 
脈が速くなる
疲れやすくなる
汗をかきやすくなる
よく食べているのに痩せる
指先が震える
落ち着きがなくなる
イライラしやすくなる
軟便になったり下痢をしたりする
子どもの成長が急に早くなる
手足に力が入らない
体温が上がる(微熱)

甲状腺ホルモンが少なすぎる時の症状

反対に甲状腺ホルモンが不足すると、脈が遅くなり、体温は低下し、活気がなくなってしまいます。ただし、初期の段階では症状があまり出ないことも多く、注意が必要です。

なお、甲状腺がんなどの手術で甲状腺を全部切除すると甲状腺ホルモンは出なくなりますが、適切な量の甲状腺ホルモン薬を服用することで、病気になる前と変わらない生活を送ることができます。
 
【よくある症状】 
動作が鈍くなる
常に眠くなる
寒がり、冷え性になる
筋力が低下する
便秘がちになる
食事量は増えていないのに体重が増える
運動しても汗をかかない
子どもの成長が悪くなる

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