2021.07.25

濾胞腺腫 (ろうほうせんしゅ)

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病気の特徴

甲状腺の中の痛みのないしこりで、ゆっくりと発育していくのが特徴です。甲状腺にできる良性腫瘍ですが、原因はまだ解明されていません。日本人にかなり多く発生する病気の一つです。

診断

血液検査、超音波検査、細胞診などが必要ですが、悪性の甲状腺濾胞がんとの区別が難しい場合が数多くあります。手術で腫瘍全体を摘出後に病理組織検査をおこない最終的に診断となります。

腫瘍組織の外側に存在する被膜を腫瘍細胞が破っていない、腫瘍組織内の血管の壁を腫瘍細胞が破っていない、他臓器への転移がない、という条件を満たしているものを、濾胞腺腫と診断します。

治療

基本的に手術は行わず、外来で経過を観察します。腫瘍が大きくならなければ何の症状も出ないからです。6〜12か月ごとに外来で経過を観察しますが、超音波検査、血液検査が必要です。細胞診を再度行うこともあります。手術が必要な症例としては、以下のようなケースが挙げられます。

検査で「ほとんど良性」と考えられるが完全には濾胞がんの可能性を否定できない場合

・腫瘍の大きさが4cm以上で硬い時
・超音波検査で腫瘍の内部の細胞がぎっしりつまっている時(嚢胞(水の溜まっている)部分が少ない時)
・経過観察中に徐々に大きくなる時

その他の場合

・腫瘍が大きく、気管や食道を圧迫する時
・腫瘍が縦隔(胸の中)に侵入している時
・美容上の観点で、本人が摘出を希望する時
・腫瘍が甲状腺ホルモンを過剰に分泌する時
手術後の経過は良好ですが、残った甲状腺が小さい時には甲状腺ホルモン剤の服用が必要です。また、手術後は、定期的な経過観察が必要となります。
なお、手術合併症として、かすれ声、大声や高い声を出しにくい、出血(まれなケース)など、特に甲状腺全摘の場合には指先のしびれ(低カルシウム血症)が考えられますが、十分に注意して手術を行います