バセドウ病と喫煙のリスク (ばせどうびょうときつえんのりすく)
バセドウ病とたばこ
嗜好品がバセドウ病に影響するかどうか様々な研究がなされてきました。今のところ唯一関係があると考えられているのがタバコです。タバコを吸うとバセドウ病が起こりやすく、治りにくく、突眼がおこりやすいと言っていいでしょう。タバコは慢性甲状腺炎で甲状腺機能低下症をきたしやすいとも言われていますので、甲状腺には極めて害が多い嗜好品です。
バセドウ病の遺伝に関しては、以前より、家族や親類の中で複数の発症を認めるなど、なんらかの遺伝的関与があるのではないかと考えられていました。しかし、同じ遺伝子を持つ一卵性双生児がともにバセドウ病になる確率は20〜50%程度と言われており、実際には遺伝的因子だけがバセドウ病の発症に関与しているとは言えません。バセドウ病の発症には、遺伝的因子と環境的因子(感染、ストレスなど)の両方の関与があるのではないかと考えられています。
また、母親がバセドウ病の場合、娘がバセドウ病になる確率(危険率)は通常の約6〜10倍程度と言われており、正常者と比較すると発症の確率はやや高いかもしれませんが、バセドウ病の母親の子供が必ずしもバセドウ病になるというわけではありません。学校検診で前頸部の腫れを指摘されたらすみやかに受診するようにしてください。
バセドウ病の遺伝因子については、その病因遺伝子としてHLA遺伝子、CTLA-4遺伝子、TSHレセプター遺伝子などが発症に関与することがわかってきており、世界中でその研究が進められています。
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