亜急性甲状腺炎 (あきゅうせいこうじょうせんえん)
病気の特徴
亜急性甲状腺炎は、甲状腺の組織が炎症のため壊れてしまい、甲状腺内にたまっていた甲状腺ホルモンが血液中に漏れでて、甲状腺ホルモンが多い時の症状がでます。また、甲状腺が硬くはれ、その部位に痛みを感じます。この病気は自然に治っていきますが、症状が強い時は治療が必要です。40〜50歳代の女性に多く、子供にはほとんど発症しません。また再発は少ないですが、まれにみられます。原因
ウイルスによると言われていますが、今のところその詳細な原因は不明です。症状
動悸、息切れなどの甲状腺ホルモンが多い時の症状とともに、甲状腺の痛みや発熱などの症状がでます。炎症を起こした甲状腺は非常に硬いしこりのようにはれます。また、時々甲状腺の痛みとはれは、右から左というように移動することがあります。通常、このような症状は1〜2か月ほどで良くなっていきます。しかし、甲状腺が壊れる病気ですので、甲状腺の機能が回復するまでは、一時的に甲状腺ホルモン量が低くなります。たいていの方は、また正常に戻りますが、まれにそのまま低い状態が続くことがあります。その時は、甲状腺ホルモン薬を⻑期間にわたって内服する必要があります。
診断のための検査
血液中の甲状腺ホルモンの量だけでは、バセドウ病との区別がつかないことがあります。それ以外に血液中の炎症反応や甲状腺摂取率検査(甲状腺が壊れていますのでヨウ素がほとんど取り込まれません)、甲状腺超音波検査などが必要です。また、場合によっては細胞診の検査をすることもあります。治療
症状がある場合には薬で痛みや動悸をおさえます。症状が軽い場合は頭痛薬などとして使われる痛み止め、強い場合には副腎皮質ホルモン薬を内服します。また、動悸がひどい時にはβ遮断薬を内服することもあります。この病気は自然に治っていきますので、治るまでの不快な症状をとりのぞくことが治療の目的となります。