2022.10.30

橋本病では、食べてはいけない食品がある? (はしもとびょうでは、たべてはいけないしょくひんがある?)

  • ヨウ素
  • 橋本病
  • 甲状腺の病気の治療
  • 甲状腺ホルモン

橋本病では、食べてはいけない食品がある?

橋本病は、甲状腺ホルモンをつくる機能の異常を招く自己免疫疾患です。
甲状腺ホルモンの原材料となるのが「ヨウ素」と呼ばれる成分であるため、このヨウ素が含まれる海藻類などの食品については、甲状腺の病気を持たない人に比べて影響を受けやすくなります。過剰摂取の場合も、不足の場合もどちらも影響があるため、適切な量を摂取する必要があります。
ただ、あくまで摂取量に注意が必要なものの、普段口にする食事において“食べてはいけない食品”は基本的にないものと考えていただいて問題ありません。

例外として、根昆布療法(根昆布をつけ込んだ水を毎日飲む民間療法)やヨウ素系うがい薬については非常に多くのヨウ素を含んでいるため、当院では橋本病の患者さんに控えることを推奨しています。

ヨウ素の摂取量について

甲状腺が大きくなく、甲状腺機能も正常の場合には、現在の食事で特に影響が出ていないということですので、気にする必要はないでしょう。また、甲状腺ホルモン薬を内服している場合も、ヨウ素量は影響しないため、あまり気にする必要はないでしょう。
厚生労働省発表の「日本人の食事摂取基準」では、ヨウ素の推奨量が1日0.13mgとされ、上限量は3㎎とされています。実際に、日本では、海藻や魚介類を多く摂取する食習慣があるため、多くの人が1日約1~3mg摂取していると考えられ、日常の食事から充分な量のヨウ素をとれているといえます。
そのため、欠乏になる可能性は低いですが、おやつ代わりに食べるとか、健康によいと聞いたから海藻類を意図的に頻繁にとるなどの食生活はヨウ素過剰の原因となります。甲状腺の病気がある人は、ない人に比べて、ヨウ素の過剰による影響を受けやすいので、「積極的にとる」ということは避けるぐらいがよいでしょう。

ヨウ素制限を指示された場合

橋本病は、基本的に食事制限はありませんが、治療などのため、一時的に海藻類などヨウ素含有量の多い食品・食材を控える「ヨウ素制限」が必要となる場合があります。

<ヨウ素制限が必要となる例>
・ヨウ素過剰摂取により甲状腺機能が低下している場合
・甲状腺ヨウ素摂取率検査を行う場合
・シンチグラフィー検査を行う場合

控えなければならない食品例としては、昆布やわかめ、のりなどの海藻類はもちろん、海藻を原料としている寒天や、昆布エキスが使用されている調味料も該当します。
また医薬品も、ヨウ素系うがい薬だけでなく、かぜ薬や複方ヨード・グリセリン(ルゴール液:喉につける塗り薬)にもヨウ素が多く含まれている場合があり、この期間内は内服を控えなければなりません。

ヨウ素制限時に食べてはいけない食材・食品は、下記のコンテンツで詳しく紹介しています。
 

カロリー制限は必要か?

橋本病で甲状腺ホルモンが低下している状態では、基礎代謝が下がり、太りやすくなります。
そのため、カロリー制限が必要と考える人もいるかもしれませんが、体重増加の原因が甲状腺機能低下症と考えられる場合には、甲状腺ホルモン薬を内服し、甲状腺機能を正常化します。そうすると、甲状腺機能低下症の影響によって体重が増加するということはありません。
そのため、橋本病にかかったことでカロリー制限が必要になることはありませんが、とはいえ特に女性に多い病気ということもあり、気になる方も多いと思います
もちろん、体重が気になる方は、ダイエットのため無理のない範囲でのカロリー制限などをしても問題ありませんが、何事もやりすぎは禁物です。橋本病の治療のためにも、規則正しい生活リズムと栄養バランスのとれた食事を心がけましょう。

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