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2025.02.13

甲状腺眼症の新しい治療法! 新薬「テッペーザ(R)」による治療を導入

テッペーザ(R)治療の特徴

当院では、甲状腺眼症の患者様を対象に、2024年9月に製造販売が承認され、11月に販売が開始された新薬テッペーザ(R)点滴静注用500mg」(一般名:テプロツムマブ[遺伝子組換え])を用いた治療を開始しました。

対象疾患:
活動性甲状腺眼症(aTED)
効果:
眼球突出・眼球運動の改善(炎症・脂肪の増加・筋肉の肥大化を抑制)
臨床試験で報告された主な副作用:
聴覚障害(難聴、聴力低下、耳管機能障害、耳管開放、聴覚過敏、耳鳴、鼓膜障害等)など

テッペーザ(R)治療とは?

テッペーザ(R)は、自己抗体の代わりにIGF-1受容体に結合し働きを抑えることで、炎症・脂肪の増加・筋肉の肥大化を抑制し、眼症状を軽減する効果があります。この薬は、生物が作り出すたんぱく質を利用して製造開発された生物学的製剤(モノクローナル抗体)です。(製造販売元:アムジェン株式会社)

治療の流れ

  1. 1.診察と検査:内科医と眼科医が連携し診断、治療の適応を判断します。
  2. 2.投与:およそ3週間ごとに点滴で8回投与します(約5か月)。
  3. 3.経過観察:治療後も定期的にフォローアップを行います。

*医師の判断により、投与時間等が変更になることがあります。

治療をおすすめする方

以下の症状でお悩みの方に適しています。
  • 目の腫れや痛み、違和感が強い
  • 眼球突出が目立ち、日常生活に支障がある
  • 他の治療法で十分な効果が得られなかった

治療のメリットとリスク

メリット

  • 症状が早期に改善される可能性が高い
  • 手術を回避できる場合がある
  • 日常生活の質が向上

リスク(副作用)

  • 聴覚障害(治療開始前及び治療開始中は定期的に聴力検査を行います)
  • 高血糖、糖尿病
  • インフュージョン リアクション(自覚症状:発熱やめまい、意識消失、嘔吐や呼吸困難など)
  • 炎症性腸疾患(自覚症状:腹痛、体重減少や食欲不振、下痢・血便など)
くわしくは医師にご相談ください。

院長からのメッセージ

テッペーザ(R)治療は、甲状腺眼症でお悩みの患者様にとって画期的な選択肢です。従来の治療では得られなかった結果を目指し、患者様の生活の質向上をサポートします。ぜひお気軽にご相談ください。
(赤水尚史 隈病院院長)

よくある質問(FAQ):テッペーザ

Q: テッペーザ治療は誰でも受けられますか?
A:以下の方は、テッペーザの治療を受けられません。
  ・ 過去にテッペーザに含まれる成分で過敏症のあった方
  ・ 妊娠または妊娠の可能性のある方
また、聴覚障害のある方、糖尿病や耐糖能異常のある方、炎症性腸疾患のある方、授乳中の方は、注意が必要です。まずは医師にご相談ください。

Q:テッペーザの費用はどれくらいですか?
A:薬剤の投与量や、ひと月当たりの回数、高額療養費制度の適用などによって異なります。高額なおくすりのため慎重にご検討いただき、費用の詳細に関しましては、受診時に医師もしくは総合案内にてご相談ください。

【支払い例】
 ・体重50~75kg未満
 ・70歳以下
 ・限度額の詳細区分が「ウ」に該当する方

全8回投与の合計額(概算):
450,000円~500,000円(初回の月:95,000円~120,000円)


*体重によって投与量を調整するため、料金が変動します。
*高額療養費制度の適用による限度額は個人の年収や、ひと月当たりの医療費総額などによって変動します。
*上記の例はあくまでもモデルであり、実際の費用はこの限りではありません。
*薬剤価格・投与量などは製薬メーカーが定めるものに沿って適用しています。医療機関による差はありません。

Q:通院頻度はどのくらいですか?
A:初回診察後、治療中は2~3週間ごとに通院が必要です。

ご予約・お問い合わせ

テッペーザ(R)治療を希望される方は、当院の内科担当医にご相談ください。

参考情報

甲状腺眼症およびテッペーザ(R)に関する情報は、以下のサイトからもご確認いただけます。